共有ドライブの使い方──作成方法・アクセス権・フォルダ設計
Google Workspaceの導入支援をしていると、共有ドライブまわりの相談で圧倒的に多いのが「経理フォルダを経理メンバーだけに見せたいのに、設定が見つからない」というものです。結論から言うと、その設定は存在しません。共有ドライブはフォルダ単位で権限を絞れない仕様だからです。
この仕様を知らずにフォルダを作り込んでから気づくと、構成のやり直しになります。この記事では、共有ドライブの作成方法・作成権限・アクセス権の仕組みを順に押さえたうえで、この仕様を前提にした「失敗しないフォルダ設計の考え方」を具体例つきで紹介します。
共有ドライブの作成方法と「作成権限」の管理
作成手順そのものは簡単
共有ドライブの作成手順
- Googleドライブ を開き、左メニューの「共有ドライブ」をクリック
- 左上の「+ 新規」をクリックし、ドライブの名前を入力して「作成」
- 作成したドライブを開き、「メンバーを管理」からメンバーを追加し、それぞれのアクセス権を設定
詳しい手順はGoogle公式の共有ドライブを作成するにも掲載されています。なお、共有ドライブは以前はBusiness Standard以上の機能でしたが、2024年9月のアップデートでBusiness Starterでも利用できるようになりました。ただしStarterでは共有ドライブ内アイテムへのアクセス制御など一部の管理者向け機能が使えないため、権限管理を厳密にしたい場合はBusiness Standard以上をおすすめします。
管理者目線:作成権限は最初に決めておく
注意したいのは、初期設定では組織の全ユーザーが共有ドライブを作成できることです。これを放置すると、似た名前のドライブが乱立して「正式な置き場がどれかわからない」状態になりがちです。私が設計に入る場合は、展開前に次のどちらかに決めてもらっています。
- 作成は情報システム担当(または管理者)のみ──申請ベースでドライブを作る。統制重視の会社向け
- 作成は全員OK、ただし命名ルールを決める──スピード重視の会社向け。「部署名_用途」などの規則だけ守ってもらう
作成権限の制限は、管理コンソールの「アプリ」→「Google Workspace」→「ドライブとドキュメント」→「共有設定」から、組織部門ごとに設定できます。詳細は管理者として共有ドライブを管理するを参照してください。
アクセス権は5段階──それぞれ何ができるか
共有ドライブのメンバーには、次の5段階のアクセス権を割り当てられます。
| アクセス権 | できること | こんな人に |
|---|---|---|
| 管理者 | メンバー管理・ファイル操作のすべて。ドライブ自体の削除も可能 | ドライブの責任者(部門長・情シス) |
| コンテンツ管理者 | ファイルの追加・編集・移動・削除。メンバー管理は不可 | 日常的にファイルを整理するメンバー |
| 投稿者 | ファイルの追加・編集。移動・削除は不可 | 資料を作って置く一般メンバー |
| 閲覧者(コメント可) | 閲覧とコメントのみ | レビューだけ頼みたい相手 |
| 閲覧者 | 閲覧のみ | 参照だけでよい関係者 |
迷ったら一般メンバーは「投稿者」がおすすめです。「コンテンツ管理者」を全員に付けると、誤操作でファイルを移動・削除してしまう事故が起きやすくなります。各権限の詳細はGoogle公式の共有ドライブでファイルやフォルダを保存、共有するにまとまっています。
【最重要】権限は途中で切れない──上位権限の継承
ここがこの記事でいちばん伝えたいポイントです。共有ドライブのアクセス権はドライブ単位で決まり、メンバーに付与した権限は中のすべてのフォルダ・ファイルにそのまま継承されます。
つまり、こういうことです。
- 「営業部ドライブ」のメンバーは、その中の全フォルダが見える
- 途中の階層に「このフォルダだけ部長のみ」という制限をかけることはできない
- 権限を広げる方向(特定フォルダを非メンバーの誰かに追加共有する)は可能でも、絞る方向は不可能
よくある失敗パターン
「全社共有ドライブ」を1つ作り、その中に「人事評価」「給与情報」フォルダを作ってしまう──この時点で全社員がアクセスできる状態です。Windowsのファイルサーバーでは「フォルダごとにアクセス権を設定する」のが普通だったので、その感覚のまま設計すると必ずここでつまずきます。
これは不便な制限のようでいて、実は「権限設定が複雑になりすぎて誰も把握できない」というファイルサーバー時代の問題を断ち切るための、意図的な設計です。「誰が見えるか」はドライブの分け方で表現する──これが共有ドライブの大原則です。
フォルダ設計の考え方と具体例
設計の手順:「誰が見るか」でグループ分けしてからドライブを切る
フォルダ構成から考え始めると失敗します。先にアクセスして良い人の範囲(アクセス境界)を洗い出し、その境界1つにつき共有ドライブを1つ作る、という順番で設計します。
フォルダ設計の手順
- 社内の情報を「誰が見て良いか」で分類する(全社員/部署内/特定メンバーのみ など)
- 分類1つにつき共有ドライブを1つ用意する
- ドライブの中のフォルダは「探しやすさ」だけを考えて自由に作る(権限はもう考えなくてよい)
- 番号付きの命名規則にすると並び順をコントロールできる
具体例:30名規模の会社の設計
実際に私が提案する構成のイメージです。
ポイントは3つあります。
- 機密情報は専用ドライブに隔離する──「20_経理・労務」を独立させているのは、フォルダでは権限を絞れないからです。名前に【機密】と入れておくと、メンバー追加時の注意喚起にもなります
- 外部パートナーには専用ドライブを切る──社内ドライブに外部の人を入れると中がすべて見えます。プロジェクト単位で「90_外部共有_○○」を作り、終了したらアーカイブ(メンバー削除)します
- 番号プレフィックスで並び順を制御する──01=全社、10番台=部署、20番台=機密、90番台=外部、のように帯を決めておくと、ドライブが増えても一覧が崩れません
迷ったら「ドライブは多め・階層は浅め」。共有ドライブの数が増えること自体に運用上の問題はほとんどありません。逆に1つのドライブに深い階層を作り込むと、「あのファイルどこ?」が頻発します。Googleドライブは検索が強力なので、階層は3〜4段までを目安にしています。
まとめ
- 共有ドライブの作成は簡単。ただし作成権限と命名ルールを先に決める(管理者の仕事)
- アクセス権は5段階。一般メンバーは「投稿者」が基本
- フォルダ単位で権限は絞れない。上位の権限がすべて継承される
- だから設計は「誰が見て良いか」の境界でドライブを分けることから始める
すでに動き出してしまった構成の整理(ドライブ分割・移行)も、データを失わずに行う手順があります。設計の壁打ちからでもお気軽にご相談ください。
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