セキュリティ 2026年08月

パスキーとは?Microsoft 365・Google Workspace利用者必見|Google Workspaceのパスキー設定手順

パソコンの指紋認証や顔認証でGoogle Workspaceにログインするパスキーのイメージ

本記事は2026年8月時点の情報です。GoogleとMicrosoftのログイン方式は現在進行形で変わっています。画面の文言やメニュー名が実際と異なる場合は、記事末尾の参考にした公式情報もあわせてご確認ください。

「パスキー(passkey)」という言葉を、ログイン画面やニュースで見かける機会が増えました。ひとことで言えば、パスワードを入力する代わりに、指紋・顔・パソコンのPINでログインする仕組みです。

これは「新しくて便利なオプション」という段階を、すでに越えつつあります。Microsoft 365(Microsoft Entra ID)では、2026年9月1日からパスキーが標準のログイン方法になります。さらに2027年2月1日には、Microsoftが提供するSMS・音声通話による認証そのものが終了します。Google Workspaceでも、管理者が許可すればパスワードを使わずにログインできる設定がすでに用意されています。

この記事では、パスキーとは何かをできるだけ平易に説明したうえで、Google Workspaceの利用者が自分で設定する手順を、実際の画面のスクリーンショットとあわせてご紹介します。管理者ではなく、日々アカウントを使う「利用者側」の作業です。所要時間は3分ほどです。

パスキーとは?パスワードと何が違うのか

パスキーは、パソコンやスマートフォンの中に保管される「鍵」です。ログインするときは、その端末で指紋・顔・PINによる本人確認をします。文字列を覚えたり入力したりする必要はありません。

パスワードとの一番大きな違いは、鍵の本体が端末から外に出ないことです。パスワードは「知っている文字列」なので、伝えれば相手も使えてしまいます。だからこそ、偽サイトに入力してしまう、使い回した先から漏れる、といった被害が起きます。パスキーは端末の中にある鍵で本人確認をするため、入力して渡すという行為自体がありません。

比較点パスワードパスキー
ログイン操作文字列を入力する指紋・顔・PINで本人確認する
保管場所本人の記憶・メモ・サービス側端末の中(外に出ない)
偽サイトへの耐性入力してしまえば盗まれる本物のサイト以外では動かない
使い回しのリスク他サービスの漏えいが波及するサービスごとに別の鍵になる
覚える負担必要不要

もうひとつ重要なのが、偽サイトでは動かないという点です。パスキーは作成したサイトのアドレスと結び付いています。本物そっくりのログイン画面を用意されても、アドレスが違えばパスキーは反応しません。人の注意力に頼らずに偽サイト被害を防げるのが、パスワードとの決定的な差です。

SMSの確認コードとの違い
「携帯電話に届く6桁の番号」も本人確認の手段ですが、偽サイトに誘導されてコードごと入力させられる被害が実際に起きています。パスキーはコードを人が入力しないため、この手口が通用しません。Microsoftが SMS・音声通話による認証を終了する理由も、まさにここにあります。

なぜ今なのか──Microsoft 365は2026年9月から標準に

パスキーへの移行は、利用者が好みで選ぶ話ではなくなってきました。とくに Microsoft 365 を使っている場合、期限のある変更が2つ決まっています。

時期何が起きるか
2026年9月1日パスキーが標準のログイン方法になる。SMSや音声通話で本人確認をしているユーザーは自動的にパスキーが使える状態になり、ログイン後にパスキーの登録を促されるようになる(当面は「あとで」で先送りできる)。
2027年2月1日Microsoftが提供するSMS・音声通話での認証が終了。これ以降、本人確認の手段がSMSや音声通話しかないユーザーは、ログインの途中でパスキーの登録を求められ、登録しないと先へ進めなくなる。この動作を止める方法(オプトアウト)は用意されていない。

どうしてもSMSや音声通話を使い続ける必要がある場合は、Microsoft Security Store を通じて自社で通信事業者を契約する形になります(別途費用がかかります)。規制対応などの事情がなければ、パスキーへ移行するのが素直な選択です。なお、この予定はパブリッククラウドの Microsoft Entra ID が対象で、Azure AD B2C は対象外とされています。

Google Workspace には現時点でこうした強制の期限はありません。ただし方向性は同じで、管理者が「パスワードのスキップ」を有効にすれば、利用者はパスワードを一切使わずにログインできます。どちらのサービスを使っていても、パスキーに慣れておくことが実務的な備えになります

【画面つき】Google Workspaceのパスキー設定手順

ここからは、実際の画面にそって設定手順をご紹介します。Windowsパソコンでの例で、Windows Hello(顔認証・指紋認証・PIN)をパスキーとして登録します。管理者権限は不要で、利用者自身で完結します。

事前に確認すること
Windowsで顔認証・指紋認証・PINのいずれかを設定済みであることが必要です(未設定の場合は、Windowsの「設定」→「アカウント」→「サインイン オプション」から先に設定してください)。ブラウザは Chrome 109以降・Edge 109以降・Safari 16以降・Firefox 122以降が対応しています。

Googleアカウントの管理画面を開く

  1. ブラウザでGoogleのページ(Gmailなど)を開き、画面右上のアカウントのアイコンをクリックします。
  2. 表示されたパネルの「Google アカウントを管理」をクリックします。

会社のGoogle Workspaceアカウントの場合、パネルに「〇〇.jp によって管理されています」と表示されます。これは会社の管理下にあるアカウントであることを示しています。

Googleの画面右上のアカウントアイコンをクリックし、「Google アカウントを管理」を選ぶ

「セキュリティとログイン」から「パスキーとセキュリティ キー」へ

  1. 左側のメニューから「セキュリティとログイン」を選びます。
  2. 画面を下へスクロールし、「ログイン方法を追加できます」の中にある「パスキーとセキュリティ キー」をクリックします。

この画面には「可能な場合はパスワードをスキップする」という項目もあります。下の例ではオフになっています。これは会社の管理者の設定によるもので、オフのままでもパスキーの作成はできます(詳しくは管理者側で確認しておきたい設定)。

Googleアカウントの「セキュリティとログイン」画面で「パスキーとセキュリティ キー」を選ぶ

「パスキーを作成」をクリックする

「このデバイスでのパスキーの作成」と書かれた青いボタン、または画面下の「+ パスキーを作成」をクリックします。どちらでも同じです。

「パスキーとセキュリティ キー」画面で「パスキーを作成」をクリックする

保存先を確認して「続行」

Windowsの「パスキーを保存する」という画面が出ます。「これは Windows デバイスに保存されます」と表示されていることを確認し、「続行」をクリックします。

スマートフォンに保存したい場合は、ここで「変更」をクリックすると保存先を選べます。まずは今使っているパソコンに作るのが分かりやすいです。

Windowsセキュリティの「パスキーを保存する」画面で保存先を確認して続行をクリックする

Windowsの本人確認(顔・指紋・PIN)

Windowsの本人確認画面が表示されます。顔認証・指紋認証・PINのいずれかで本人確認をします。画面の指示に従って「OK」をクリックしてください。

ここで使う顔・指紋・PINの情報がGoogleに送られることはありません。あくまで「このパソコンを使っているのが本人かどうか」をWindowsが確認しているだけです。

Windows Helloの本人確認画面。顔認証・指紋認証・PINのいずれかで確認しOKをクリックする

「パスキーが作成されました」を確認して完了

「パスキーが作成されました」と表示されれば成功です。「完了」をクリックします。画面上部にも「確認が完了しました」と表示されます。

「パスキーが作成されました」と表示された完了画面

登録された内容を確認する

画面下の「パスキー」の一覧に、「Windows Hello(作成日時)」として登録されているはずです。ここで作成日・最終使用日も確認できます。使わなくなった端末のパスキーは、右側の「×」から削除できます。

パスキー一覧にWindows Helloが登録され、作成日と最終使用日が表示されている

作成直後はすぐ使えないことがあります。一覧に「新しいパスキーを使用できるようになるまでセキュリティ上の理由による待機期間が生じます」と表示される場合があります。これは不正に追加されたパスキーが即座に悪用されるのを防ぐためのGoogleの仕組みです。しばらく待てば使えるようになるので、この間はこれまでどおりパスワードでログインしてください。

スマートフォン(iPhone・Android)に作る場合も考え方は同じです。パスキーの設定ページを開き、画面の案内に従って端末の指紋認証・顔認証で本人確認をすれば作成できます。普段使う端末それぞれに作っておくと、どの端末からでも同じように素早くログインできます。

設定したあと、ログインはどう変わるか

パスキーを作ったあとのログインは、次のようになります。

  • 管理者が「パスワードのスキップ」を許可している場合──メールアドレスを入力すると、パスワードを聞かれずに指紋・顔・PINの確認画面になります。本人確認が済めばログイン完了です。
  • 許可されていない場合──これまでどおりパスワードを入力し、そのあとの2段階目の確認としてパスキーを使います。SMSの確認コードを待つ必要がなくなります。

どちらの場合も、パスキーを作ったからといってパスワードが消えるわけではありません。パスワードは残ったままで、ログイン方法が1つ増えるだけです。うまくいかないときは、これまでどおりパスワードでログインできます。この点を知っておくと、安心して試せます。

管理者側で確認しておきたい設定

ここからは、会社のGoogle Workspaceを管理している方向けの内容です。管理コンソールメニュー → セキュリティ → 認証 → パスワードなしを開くと、次の2つの設定があります。

「パスワードなし」の設定項目

  1. パスワードのスキップ──オンにすると、利用者はパスワードを入力せずパスキーだけでログインできます。初期状態はオフです。オフでも、利用者はパスキーを作成し、2段階目の本人確認として使えます。
  2. パスキーの制限──「ハードウェア セキュリティ キーでのみパスキーを許可する」を選ぶと、パソコンやスマートフォンではなく物理的なセキュリティキー(YubiKeyなど)に限定できます。厳格な運用が必要な場合に使います。

設定には「セキュリティ設定」の管理者権限が必要です。なお「パスワードのスキップ」をオンにしたユーザーは、アカウントにセキュリティキーを直接追加する選択肢が表示されなくなり、パスキーとしての作成に一本化されます。

進め方の提案
いきなり全社で「パスワードのスキップ」をオンにする必要はありません。まず全員にパスキーを作ってもらうところから始め、問題が出ないことを確認してから、部署単位でスキップを有効にしていくと安全です。パスキーを作るだけなら、これまでのログイン方法は何も変わりません。

導入前に知っておきたい注意点

1. パソコンで作ったパスキーは、そのパソコン専用です

Windowsで作ったパスキーは、そのパソコンの中に保存され、ほかの端末には引き継がれません。パソコンを買い替えたり初期化したりすると使えなくなります。新しい端末では、そこで改めて作成してください。iPhoneやAndroidで作ったパスキーは、同じApple ID・Googleアカウントの端末間で共有される仕組みがあります。

2. ログイン手段を1つだけにしない

端末が1台しかなく、そのパスキーだけに頼ると、故障や紛失のときにログインできなくなります。パスワード・別の端末のパスキー・バックアップコードのうち、少なくとも1つは予備として残しておいてください。バックアップコードは同じ「セキュリティとログイン」画面から発行できます。

3. 共有パソコンでは作らない

パスキーはそのパソコンにログインできる人が使えます。複数人で使う共有パソコンでは作成しないでください。作ってしまった場合は、パスキーの一覧から削除できます。

4. 退職者が出たときの扱い

管理者がアカウントを停止すれば、パスキーでもログインできなくなります。ただし個人所有の端末に会社アカウントのパスキーが残っている状態は望ましくないので、退職時のチェック項目に「私物端末のパスキー削除」を加えておくと安心です。

5. パスキーにしても、ウイルス対策は必要です

パスキーは偽サイトへの入力やパスワードの使い回しを無効にしますが、パソコンがウイルスに感染したときの被害までは防げません。ログインが済んだあとの状態を盗まれると、ログイン画面を通らずにアカウントへ入られてしまうためです。何が守られて何が守られないのかは、パスキーにすればウイルス対策はもう不要?──マルウェアに感染したとき何が起きるのかをQ&Aで整理で詳しく解説しています。

よくある質問

パスキーを設定すると、パスワードは使えなくなりますか?

使えなくなりません。パスキーを追加しても、これまでのパスワードはそのまま残ります。ログイン方法が1つ増えるだけです。パスワードを完全に使わない運用にするかどうかは、管理者の設定次第です。

指紋や顔のデータがGoogleに送られませんか?

送られません。指紋や顔の情報は端末の中だけで照合され、Googleに渡るのは「この端末で本人確認が済んだ」という結果だけです。

パソコンを買い替えたらどうなりますか?

古いパソコンのパスキーは使えなくなります。新しいパソコンで改めて作成してください。古いパスキーは一覧から削除しておくと管理がすっきりします。

作ったのにログイン時にパスキーが出てきません。

作成直後は、セキュリティ上の待機期間で使えないことがあります。しばらく待ってからお試しください。それでも出てこない場合は、管理者が「パスワードのスキップ」を許可していない可能性があります(この場合、パスキーはパスワード入力後の2段階目で使われます)。

Microsoft 365でも同じことができますか?

できます。Microsoft Authenticatorアプリ、FIDO2セキュリティキー、Windows Hello をパスキーとして登録できます(Windows Hello を使う方式は2026年8月時点でプレビュー段階です)。ただし管理者が Microsoft Entra 管理センターで「パスキー(FIDO2)」を有効にしておく必要があります。

参考にした公式情報

まとめ

パスキーは、パスワードを覚えて入力する仕組みから、端末の中の鍵で本人確認をする仕組みへの切り替えです。偽サイトに引っかかる余地がなくなり、ログインも速くなります。Microsoft 365 では2026年9月から標準となり、2027年2月にはSMS・音声通話での認証が終了します。期限が決まっている以上、早めに慣れておくほうが負担は小さくて済みます

Google Workspace なら、この記事の手順どおり3分ほどで1台目のパスキーを作れます。まずはご自身のパソコンで1つ作ってみて、問題がなければ社内へ展開する、という順番をおすすめします。

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