Google Workspace 2026年05月

AppSheet 2026の方針転換──Googleのノーコード投資はどこへ

AppSheetの方針転換とGoogleのノーコード・AI投資の動向を示すビジネスイラスト

2026年5月15日、AppSheetチームが開発者フォーラムに「2026 Product Strategy Update」を投稿しました。内容をひとことで言うと、「新機能開発は大幅に縮小して、安定性・信頼性の維持に集中します」というものです。Google Workspaceを業務で使っている方や、AppSheetでアプリを作っている方にとっては気になるニュースだと思います。

ただ、これを単体で「AppSheetが終わりそう」と読むのも少し違う気がして。Firebase Studioの動きや、Workspace Studio・Antigravityといった新しいツールの状況を合わせて見ると、Googleが「どこに重心を置いているか」が少し見えてきます。公式情報をベースに、現場目線で整理してみました。

AppSheetが公式に「メンテナンス重視」へ転換

2026年5月15日付の公式投稿(AppSheet 2026 Product Strategy Update)で、チームは次の方針を示しました。

  • エンジニアリングリソースをバグ修正・可用性・サポートに集中させる
  • その結果として、新機能の開発は大幅に縮小(significantly reduced)する
  • オフィスアワーや長期ロードマップ報告といったコミュニティ活動の頻度を下げる
  • 長期間プレビューのまま止まっている機能を、正式提供(GA)か廃止かに整理する

「拡張」から「棚卸しと安定化」への転換という感じです。新機能の縮小だけでなく、ロードマップ報告まで縮小すると明言しているのは読みようによっては優先度が下がったサインとも取れます。

「終了」の発表ではありません。既存アプリは引き続き稼働し、バグ修正とサポートは継続されます。「新機能を積極的には増やさない」という方針転換です。

コミュニティの正直な反応

この投稿へのフォーラムの返信は、正直なところあまり好意的ではありませんでした。読んでいて「そう感じるよな」と思ったコメントをいくつか紹介します。

  • 「同じようなことを前にも言っていた。約束が守られた記憶がない」という不信感
  • 「この2〜3年、チャートやGantt、カレンダービューが中途半端なまま放置されている」という具体的な不満
  • 「AIに過集中して、既存ツールを見捨てているように感じる」という批判

フォーラムは不満を持っている人ほど書き込みやすいので、これが全体の声とは言えません。ただ、公式声明の内容とユーザーの体感が同じ方向を指しているのは、単純な愚痴以上の意味がある気がしました。

GoogleのノーコードツールとAI投資の流れを示す図解:AppSheetからWorkspace Studio・Antigravityへの重心移動

Firebase Studioも同じ流れに

AppSheetだけではなく、Firebase Studioにも似た動きがあります。Firebase Studioは2027年3月22日にサポート終了の予定で、プロジェクトはGoogle AI StudioまたはGoogle Antigravityへの移行が案内されています(Firebase公式ドキュメント)。

なお、Cloud Firestore・Authentication・App HostingなどFirebaseのコアサービスには影響がなく、デプロイ済みのアプリはそのまま動き続けます。Firebase Studio(IDE部分)だけが整理される形です。

AppSheetの方針転換とFirebase Studioのサポート終了、この2つは「新しいAIプラットフォームへ開発リソースを集約する」という同じ流れに見えます。個別のニュースではなく、一連の動きとして読んだほうが腑に落ちます。

Googleが今力を入れているのはここ

では、集約先はどこかというと、大きく3方向に向かっているようです。

Google Workspace Studio(旧Flows)

Gemini 3を中核にしたノーコードのAIエージェント構築ツールです。自然言語で業務自動化エージェントを作れるというもので、早期利用プログラムでは作成されたエージェントが30日間で2,000万件以上のタスクを処理したと報告されています(@IT, 2025-12)。AppSheetが「データを元にUIのあるアプリを作る」ツールだとすると、Workspace Studioは「Geminiが自動でやってくれる業務フローを作る」ツール、という位置づけです。

Google Antigravity

2025年11月に公開されたエージェント型IDEです。MCPに標準対応しており、2026年5月にIDE・2.0・CLI・SDKの構成へ拡張されました(WEEL, 2026-04更新)。Firebase Studioの移行先のひとつにもなっています。

Gemini in Workspace の機能拡張

Cloud Next '26では、Gmail Live(音声でメールを操作)、Docs Live(文書構成支援)、Gemini Spark(常時稼働の個人エージェント)などが発表されました(ケータイ Watch, 2026-05)。

日本での提供時期は未確定です

Gmail Live・Docs Live・Gemini Sparkは米国での展開が先行しています。Workspace StudioとAntigravityも、2026年5月時点では日本での正式提供は未確定です。試してみたい方は最新情報を都度確認してみてください。

AppSheetユーザーへの現実的な整理

状況を整理すると、用途によってこんな感じで考えると分かりやすいかもしれません。

状況 現実的な判断
既存のAppSheetアプリを運用中 すぐ捨てる必要はない。ただし新機能前提の拡張計画は立てにくくなった
これからAppSheetを新規で学ぶ Workspace Studio・Antigravity・Gemini Enterprise系に時間を使うほうが合理的かもしれない
社内データがSheets/Driveにあり自動化が主目的 Workspace Studioが第一候補。自然言語で操作できる点はAppSheetより直感的
AIウェブアプリを素早く作りたい Google AI Studio(Firestore・Auth・Cloud Runへ直結)が候補になる

AppSheetは今でも、WorkspaceのスプレッドシートやDriveと連携したシンプルな業務アプリ用途には実用的なツールです。「もう使えない」ではなく、「新しい投資先として選びづらくなった」という感覚が近いと思います。

Googleの新規投資のキーワードは一貫して「エージェント」になっています。ノーコードの主役も、AppSheet的な「アプリビルダー」から、Workspace Studio的な「自然言語で作る自動化エージェント」へ移りつつあるというのが、今の状況ではないでしょうか。どこに学習とリソースを張るかを考えるなら、この流れは押さえておく価値があります。

よくある質問

QAppSheetで作った既存アプリは急に使えなくなりますか?
Aサービス終了の発表はなく、既存アプリは引き続き稼働します。ただし新機能の追加は大幅に縮小されるため、新規機能を前提とした開発計画は立てにくくなっています。
QAppSheetとWorkspace Studioは何が違うのですか?
AAppSheetはスプレッドシートのデータを元にUIのあるアプリを作るツールです。Workspace StudioはGeminiを使って自然言語で業務自動化エージェントを構築するツールで、目的がやや異なります。
Q日本でWorkspace StudioやAntigravityはもう使えますか?
A2026年5月時点ではどちらも日本での正式提供は未確定です。Workspace Studioは早期利用プログラムが動いており、Antigravityはgoogle.comアカウントがあれば試せる段階まで来ています。

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